治療事例

※治療方法・期間には個人差があり、治療を受けた方全員に同じような結果が出るとは限りません。
※治療を受けるにあたって「オステオパシーの考え方」、「施術の方針」をお読みの上、オステオパシーの治療方
 針をご理解いただきますよう、お願いいたします。

足底腱膜炎60代/女性

症状

2ヶ月前より歩行時に左の踵が痛くなり、整形外科にて物理療法や投薬にて治療を受けるもなかなか改善せず知人の紹介により来院。
踵のある特定の部位を押さえると強く痛む。

 

既往症

整形外科にて足底腱膜炎と診断され、X線により踵骨棘を確認。
20年前に交通事故によるむち打ち症、及び肋骨骨折(右か左か覚えていない)。

 

施術内容

オステオパシーにより全身を診察したところ、左の下肢には問題はなく、腰椎5番目と仙骨の間(腰仙関節)に圧縮を確認。その制限のために腰椎や腹膜から横隔膜の脚を通して横隔膜が十分に広がらない。

そしておそらく過去の交通事故による胸郭の関節、臓器の圧迫により呼吸機能が低下し、それに付随して排液が妨げられていた。これらの事により、自ら炎症を速やかに鎮静させることが出来なくなっている。

 

 

※図参照  (クリックで拡大します )

 

 
まずソフトな手技により腰仙関節の圧縮に対して働きかけ、仙骨が十分に可動化されるまで施術を行う。
さらに右第8番目の肋骨の骨内の制限と骨折部位の骨の乱れたリズムを正常化し、その後肝臓に残るおそらく交通事故による衝撃をリリースする。これにより横隔膜が十分に機能し排液が促される。
その後胸郭内の関節や臓器(心臓を包む心膜や胸膜)にかかる衝撃をリリースさせ、身体全体のリズムや位置関係が正常に戻った事を確認し、1回目の施術を終了。

施術終了後局部の圧痛が若干残るも歩行時の痛みが消失する。翌日には圧痛も消失したとのこと。(踵骨棘があるからといって必ずしも痛みがあるわけでなくまた痛みが引かないというわけではない。)
2週間後の来院時にも症状の再発がなかったため治療を終了する。

オステオパシーの技術の中にはこの症状の出ている腱や筋膜に直接働きかける方法もありますが繰り返し再発する事も多く、やはり全身を診察し症状を引き起こしている原因を見つけ出し施術する事が大切であると言えます

 

解説

この方のように交通事故の衝撃により硬膜管を伝って仙骨への強い外力や、シートベルトによって胸郭の関節や臓器に強い外力がかかり、組織が制限される事は多く見受けらます特に肝臓や脾臓等の実質性の臓器は外力を吸収する性質があるため、制限されやすい部位であると言えます

このような制限により呼吸システムが十分に機能する事ができず排液が妨げられ、炎症を自ら鎮静させる事ができず症状が長引いてしまったと考えられます。さらに長期間身体に捻れた力が働き続けた事により左右の下肢に不均衡な力がかかり続け、骨棘が形成されたものと思われます。

このように症状とは無関係に思われる昔の交通事故等による外力の影響から身体のシステムに異常をきたし、炎症や痛み等様々な症状を引き起こす事は珍しい事ではありません

この方のケースのように症状を引き起こしていると考えられる身体の制限が主に物理的外傷であった場合は、比較的速やかに改善される事が多いと言えます。心理的ストレスや内臓の制限が強い場合等は、このように関連のある外傷の影響をリリースさせても身体の機能(働き)がなかなか十分に戻ってきません。その場で変化が起きたとしても効果が長続きしない事が多いと言えます。この場合は順を追って適切に治療を行い、構造を歪ませている力の源へ働きかける事で改善の方向へと向かっていきます。

構造の中で何が起き機能を低下させているのかを十分に知り、またその構造を動かしている力が外力によるものなのか内面からの内的な力によるものなのかを見分け、扱う必要があります。構造を動かしている力に働きかけ、それが適切に処理されれば身体は正常な機能(働き)を取り戻します。

 

 

 

 

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